十日町市南雲 金澤一裕さん(31)

 高校卒業後に農業大学を経て22歳で就農し、今年で就農10年目となる金澤一裕さん。現在は父親と二人で水稲約3ha、アスパラガス80a、ネギ20a、トマト4aを栽培しています。

一裕さんは就農後、カルビタトマトとやわ肌ねぎを導入し、自身の代で園芸品目の幅を広げました。

「就農当初は失敗もいろいろあったけど、毎年やってきたことが経験として今につながっていますね。自分が取り入れた品目も一連の流れもわかってきて、落ち着いて取り組めるようになりました」と振り返ります。
 

 農大でトマトを研究していたことをきっかけに就農後すぐにカルビタトマトの栽培をスタートさせた一裕さん。現在は栽培する人が減少している中、10年栽培を続けています。

「約30年の歴史を持つ十日町のブランドトマトは無くしたくないし、消費者の方たちが必要としてくれている。『待ってるよ』の声が原動力です。自分が知らない食べ方を教えてくれたり、消費者の声が聞けるのは嬉しい」と話します。
 

 やわ肌ねぎの栽培は5年前からスタート。

「ネギは季節を問わず需要があるし、JAに共選場ができると聞いてチャレンジしてみようと思ったんです。ベテラン農家から教わる『ねぎ塾』もあって、それも栽培の後押しになりました」と話す一裕さん。ねぎ塾で基礎から技術を学び、現在に至ります。
 

 「昨年は新しい圃場で栽培しましたが、土の状態が良くなくネギが育ちにくかった。わからないことは近所の農家仲間に聞いたり、ベテラン農家の圃場を見に行ったり今でも勉強しています」。今年も天候による栽培方法の変化に苦労しながらも、無事収穫を迎えました。
 

 4年前から地元の福祉施設と連携した「農福連携」にも取り組み、作業や出荷準備を任せることで心に余裕ができたと言います。

「今後も農福連携を続けていきたいし、関わってくれる方の賃金アップも考えたいですね。栽培面積も少しずつ拡大して、生産者と交流しながら農業を続けていきたいです」と笑顔を見せます。その実直な姿勢が、今日も魚沼地域の農業を支えています。

2025年9月号掲載