津南町上郷大井平 ㈲河田農場 河田太郎さん(43)

津南町で農業を営む河田農場では、稲作やユリ、促成山菜のうるいを出荷しています。現在は家族や従業員、外国人技能実習生を含めた9人で、豊富な水と標高を生かして農産物を管理。
2024年に実施された新潟県花きコンテストでは、河田農場のユリ「アヌースカ」が最高位の賞を受賞するなど、高い評価を得ています。

代表の河田太郎さんは農業大学校を卒業後、父・武雄さんの築いた河田農場に就農。当時は稲作とユリを主体とし、冬はスキー場などで仕事をしていました。
その後27歳で経営を引き継いだ後もしばらくは経営スタイルが大きく変わることはありませんでしたが、今から5年前に魚沼市の花き農家が冬季に山菜を出荷しているという話を耳にします。

「冬にも農業ができれば雇用の創出にもつながる」と考え、産地を訪れた太郎さん。
出荷場までの距離が遠く、行政が異なる区域でしたが、それでも出荷したいという強い意志で促成山菜の「うるい」を導入。栽培指導や出荷時など津南町から1時間以上の道のりを何度も通ったそうです。

太郎さんは8年前から外国人技能実習生も受け入れ、一緒に作業に取り組んでいます。実習生の1人であるインドネシア出身のアヤさんは今年4年目。「雪にはとっても驚いたけど、皆さん優しく接してくれて、心地いいです」と上手な日本語で恥ずかしそうに話してくれました。
これに対し「生活面での困りごとや不安なことなど、こまめに聞くように心がけています」と話す太郎さん。

「実習生で来てくれた方には日本語などの技術を習得してもらい、通訳や観光ガイドなどの何らかの仕事に結び付けてもらいたいです。皆さんのこれからを応援しています」と力を込めました。
今年から太郎さんの紹介で、うるいの出荷者に津南町の農業法人が新たに加わりました。
「メインのユリはもちろん、津南町でうるいを栽培していることも広く知ってもらい、生産者を増やしたいです。通年農業でより多くの人が津南町に来てくれるきっかけになれば、すごく嬉しいですね」と話す太郎さんは地域農業の未来を見据えていました。

2025年3月号掲載