津南町相吉 涌井天斗さん(24)

 学校から帰るとランドセルを置き、祖父母が働く田んぼや畑に向かった幼少期。自然と触れ合いながら過ごしてきた涌井天斗さんにとって、農業は常に身近な存在でした。高校卒業後は、迷わず実家の農業を継ぎ、現在は就農6年目。高校時代には農業の基礎を学びましたが、実際に農業を始めてみると、思っていた以上に苦労が多いと実感したといいます。

「最初は何もわからなくて、周りのベテラン農家の方たちに話を聞いたりして、少しずつ自分なりの方法を見つけていきました」と当時を振り返ります。

 現在は祖父母と3人で、水稲、スイートコーン、アスパラガスなどを栽培しています。体を動かすことが好きな涌井さんですが、農作業は体力的にも精神的にも大変だと感じることがあります。そんな中でもトラクターの操縦や農機の整備に楽しさを感じるそうです。

「元々、機械いじりが好きで農業を始めたきっかけにもなりました。整備を自分でやることで経費の削減にもつながりますし、結果的に経営にもプラスになります」と笑顔で話します。

 祖父母の代では、年々縮小されていた農地も少しずつ広げ、将来的には水稲の栽培面積を倍に増やすことを目標にしています。しかし、アスパラと水稲の作業時期が重なるなどの課題もあります。

それでも涌井さんは、作業の効率をあげたり、新しい作物を取り入れるために情報を集めたりして、経営として成り立つ農業を目指しています。最近では、任される仕事も増えてきたと感じ、「6年目になって、やっと流れがつかめてきた気がします」と話します。

涌井さんの農業に対する姿勢は、「農業で生計を立てることを考えてこそ続けられる」という確かな意識が根底にありました。これからも、経営感覚と実践力を兼ね備えた農業を目指し、涌井さんはさらなる挑戦を続けています。

2025年7月号掲載