苗場高原生産組合 田中 雄さん(33)
苗場高原生産組合の統括責任者として茶豆栽培の年間スケジュール作成や指示等、全体の管理を任されている田中雄さん。組合の栽培面積は約74ha、市内外に約200か所の圃場があり、それぞれに合わせた管理をしています。
「茶豆の品種や圃場の標高、播種の時期など、組み合わせて収穫時期が被らないよう品質の良いものになるようスケジュール考えることが、面白いし楽しいんです」と話します。
東京出身の雄さんは2017年、結婚を機に十日町に移住。東京では大手通信会社で接客の仕事をしていましたが、もともと農業に興味があり漠然と『農に関わる仕事がしたい』と思っていました。
そんな時、集落の会合で偶然出会った組合長・柳恵一さんに声を掛けられ、苗場高原生産組合で働くことになります。
最初は草刈りに出荷準備と現場仕事の毎日でした。その頃、市内外に点在する50ha以上ある畑を少人数で効率よく管理できないか模索していました。
そこで雄さんは、圃場管理ソフトの導入を提案します。「今までと違うやり方を覚える大変さはあったけど、導入後もスマホの入力方法を教え合ったり、従業員みんなで『品質のいい茶豆のために』という想いがあったからICT化に挑戦することができました」と話す雄さん。圃場管理の見える化で作業効率が上がり、収量や品質にも良い影響があり、売り上げも大幅に増加したと言います。
「目に見える数字はやりがいになります。土壌分析して品質の良いものをどの圃場でも作れるように研究するのも楽しいです」と話します。
組合の努力が実を結び、今年の8月には苗場高原生産組合の妻有茶豆が枝豆選手権で全国最高金賞に選ばれます。
これを機に多くの人が『妻有茶豆』の存在を知ることになります。
10月にはICT技術を取り入れた選別機を導入し、今後はドローンや、自動操舵トラクター等の活用も考えている雄さん。
「ICTを活用した地域農業のモデルとして最先端を目指したい。それと、十日町を茶豆の産地にしてたくさんの人に妻有茶豆の美味しさを届けたいです」そう話す雄さんは今日も品質の良い茶豆づくりを従業員と一緒に追及しています。
2022年11月号掲載